2011年5月24日火曜日

どこまで「最悪」を想定しうるか

震災から2カ月が過ぎ、企業でもBCP(事業継続計画)、BCM(事業継続管理)に対する取り組みが進んでいると思われます。

「事業継続」は「災害やその他の予期しない中断」から、文字通り事業を継続することが目的です。

復旧方法を検討するためには、災害等の規模を想定する必要があります。

日本経済新聞の5月16日の「東日本大震災-科学者が語る」というコーナーに、東京大学の畑村洋太郎名誉教授のインタビュー記事が載っていました。

教授は、もともと「失敗学」を提唱していましたが、それでは不十分と考え、2007年から「危険学」のプロジェクトを立ち上げています。
簡単にいうとどこにどんな危険が潜んでいるかを知り、備えるということでしょうか。

これだけ聞くと、あたりまえだと思うかもしれませんが、「どんな危険」を想定することは非常に難しいことだと思います。

今回の震災でもさまざまな企業や施設でも、危機を想定し、対策はしていたことでしょう。しかし、それが「想定以上」だったわけです。

どこまで「最悪の状況」を想定できるかが「有効なBCP」の鍵になります。

例えば、インテル社は、主力工場を紛争リスクの大きいイスラエルに置いていますが、世界の工場の設計が標準化され、瞬時に代替生産ができるようになっています。紛争地帯ですから、本当に「最悪」の状況を想定していると思われます。

今回の震災だけではなく、先日のSONYのハッキング事件など、「事業がストップする」状況はさまざまです。畑村名誉教授の言葉を借りると、「"悪意の鬼"となって危険を見つけ出すことから対策が始まる」のです。

私が好きな本の一つ「逆説の日本史(井沢元彦著)」では「日本は言霊(ことだま)の国」と記述しています。「悪いことを言うと、本当にそれが起こってしまう」ということですが、私自身も、「縁起でもない」という言葉を使ってしまうことがあります。
しかし、企業の存続に関わることなので、悪い状況、恐ろしい状況を考える必要があるのです。

これからBCPを策定する企業、BCPの見直しを行う企業、さまざまあると思いますが、できうる限り「最悪の状況」を考えてみてください。

1 件のコメント:

  1. 畑村名誉教授は、福島第一原発の事故調査委員会の委員長に起用されました。

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